ロデリンダ

ゲオルグ・フリードリヒ・ヘンデル
台本:ニコラ・フランチェスコ・ハイム。アントニオ・サルヴィによる『ロデリンダ』の翻案作品。
初演:1725年2月13日、ロンドン、王立劇場。

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物語の背景
18世紀初頭のミラノおよび周辺の郊外。ベルタリードはかつてランゴバルト(ロンバルディア)王国とミラノを治める王だったが、政敵グリモアルドによって王座を追われ、今は死んだと思われている。王妃ロデリンダと幼い王子フラヴィオは宮廷に残されている。グリモアルドは、ベルタリードの妹エドゥイージェと婚約していて、結婚すれば晴れて王座を主張できるが、エドゥイージェは今のところ兄の喪中であると言って彼の申し出を退けている。一方、ベルタリードは、自らの死の噂を広めて時間を稼ぎ、変装してミラノに入って妻と息子を救出する計画を立てていた。何が何でも王座を手に入れたいグリモアルドは、ガリバルドやウヌルフォと相談しながら、いくつかの選択肢を検討していた。ガリバルドはグリモアルドの腹心の部下であり、ウヌルフォは元ベルタリード内閣の一員で、彼の生存を知る唯一の人間だった。

第一幕
ロデリンダ王妃と王子はミラノの宮殿に拘束されている。グリモアルドがやって来て、王妃と結婚して王座に就きたいと申し出るが、王妃は憤慨してはねつける。エドゥイージェは彼の言動にあきれ、自分と婚約中の身である事実を思い出させる。グリモアルドはエドゥイージェに未練があるにも関わらず、かつて自分が冷たくあしらわれた腹いせに冷淡な態度を取る。腹を立てたエドゥイージェは、ちょうど彼の腹心の部下であるガリバルドから愛の告白を受けたことに意を強くして、グリモアルドを失脚させる決意を固める。ガリバルドは独りになると、自らの王座への野心のためにエドゥイージェを利用しているだけであることを告白する。

兵士の姿に身をやつしたベルタリードが、自分の墓標が立つ場所へやって来て忠臣ウヌルフォと再会する。そこへロデリンダ王妃とフラヴィオ王子が現れるので、二人は姿を隠す。ガリバルドがグリモアルドからの最後通牒を王妃に渡す。そこには「もしもロデリンダがグリモアルドとの結婚を拒むなら、王子の命はない」と記されていた。ロデリンダは観念して結婚に同意し、王子と共にその場を走り去った。ベルタリードは妻の裏切りを目の当たりにして深く落胆し、ウヌルフォの慰めも耳に入らない。

第二幕
宮殿では、ガリバルドがエドゥイージェに、グリモアルドとロデリンダ王妃が結婚することになったと教える。そして自分のものになってくれれば、グリモアルドへの復讐に手を貸そうと申し出るが、エドゥイージェの態度が煮え切らないため、まだグリモアルドに未練があるのではないかと疑う。ロデリンダ王妃が王子を連れて現れ、彼女にとって何よりも大切なのは息子の将来だと語る。しかしエドゥイージェは、なぜ王妃が夫を裏切った相手からの求婚を受け入れることができるのか、理解できない。グリモアルドに対するエドゥイージェの愛は憎しみに変わる。エドゥイージェが退出すると、グリモアルドがガリバルドとウヌルフォを伴って入ってくる。王妃は、自分からの最後通牒をグリモアルドに突きつけた。「正統なる王位継承者の母親である限り、反逆者の妻となることはできないので、あなたが私の目の前で、自らの手で王子を殺せば、結婚の申し出を受けます」。ロデリンダの賭けは成功した。グリモアルドは怖気づいて結婚をあきらめる。ガリバルドとウヌルフォがその場に残った。グリモアルドの弱さを見たガリバルドは、権力をつかみ取り、確かなものとするためには、どんな犠牲でも払わなければならないと考えた。ウヌルフォは、ロデリンダの貞節をベルタリードに伝えようと決意する。

エドゥイージェはベルタリードにばったり出会い、生きていたことを知って大喜びする。ウヌルフォがやって来て、ロデリンダが彼を裏切っていないことを知らせる。エドゥイージェは王妃と王子の救出に力を貸すことを約束する。ウヌルフォが出かけてロデリンダを連れて戻って来る。しかし夫婦の再会はグリモアルドの登場によって中断される。ベルタリードの顔がわからないグリモアルドは、王妃が愛人と逢引きしているのだと勘違いして激怒する。ベルタリードは正体を明かすが、自分の貞節の評判よりも夫の命のほうが大切だと考えたロデリンダは、この男の言っていることは嘘だと言い張る。グリモアルドは、誰であろうと恋敵には死あるのみだと言い、二人に最後の別れを惜しむよう言い捨てて去った。

第三幕
エドゥイージェとウヌルフォが、ベルタリードを牢から逃がす作戦を立てている。エドゥイージェは一人になると、この善行によって過去の自分の罪を消すことができるだろうかと考える。ガリバルドは、さっさとベルタリードを殺すようグリモアルドに進言するが、グリモアルドは恐怖心や猜疑心、愛情や後悔の念にさいなまれ、決心がつかない。

牢につながれたベルタリードは自らの不運を嘆いていたが、鉄格子の隙間から剣が投げ込まれると元気を取り戻した。足音を聞いて死刑執行人が来たと思ったベルタリードは相手を斬りつけた。ところがそれはウヌルフォだった。重傷を負いながらも、ウヌルフォは秘密の抜け道から何とかベルタリードを逃がす。一方、ロデリンダは自分の手で夫を救い出そうと、エドゥイージェと共に牢にやって来るが、血に染まったウヌルフォのマントを見つけて、最悪の事態を恐れる。

グリモアルドは未だに罪悪感から解放されない。己の残虐性と罪を認め、疲れ果てて眠りに落ちる。ガリバルドが忍び寄ってグリモアルドを殺そうとしているところに、ベルタリードが現れてガリバルドを殺す。そして「命を救ってもらった恩人に復讐できるか」とグリモアルドに対峙する。ウヌルフォとエドゥイージェが現れて、自分たちが協力してベルタリードを牢から逃がしたことを明かす。グリモアルドは命を救ってもらった感謝の印に、ベルタリードに妻子と王座を返還し、彼を許してくれたエドゥイージェと結婚することを新たに誓った。全員で幸せな未来を祝福する。