マノン

作曲:ジュール=エミール=フレデリク・マスネ
台本:アンリ・メイヤック、フィリップ・ジル。原作はアベ・プレヴォの小説『騎士デ・グリューとマノン・レスコーの真実なる物語』
初演:
188419日、パリ、オペラ・コミーク座

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第一幕

19世紀末のフランス。アミアンの旅籠の前庭で、貴族のドゥ・ブレティニとギヨー・ドゥ・モルフォンテーヌが、3人の若い女性——プセット、ジャヴォット、ロゼット——と夕食をとっている。パリ行きの駅馬車が来るのを待つ人々が集まってくる。その中にレスコーがいた。修道院に入ることになっている従妹のマノンを迎えに来たのだ。駅馬車が到着する。マノンは生まれて初めての旅に大感激している。その美しさに目を留めたギヨーが、パリまでお送りしようと申し出るが、彼女も、ギヨーの連れも笑って相手にしない。レスコーは、家の恥になるような振る舞いを慎むよう、マノンに注意する。彼女は美しく着飾った女たちを羨望の眼差しで見つめる。そこへデ・グリューという若い騎士が来るが、駅馬車はすでにパリへ発った後だった。彼は一目でマノンに恋をする。そしてマノンから、奔放な性格が災いして修道院に送られることになったと聞くと、何とか助け出そうと決意する。二人はギヨーの馬車で逃げる。戻って来たレスコーは、従妹がてっきりギヨーの差し金で連れ去られたと思って彼に怒りをぶつけるが、旅籠の主人からマノンは若い男と消えたと知らされる。皆の前で恥をかかされたギヨーは、駆け落ちした二人に復讐することを誓う。

 

第二幕

パリのアパート。デ・グリューは父親に宛てて、マノンとの結婚の許しを乞う手紙をしたためている。小間使いが来客を知らせる。レスコーと、もう一人の男は——小間使いがマノンに耳打ちしたころによると——変装したドゥ・ブレティニだった。レスコーは、マノンをさらわれたことで一族の名誉が傷つけられた、とデ・グリューを責めた。しかし本当のところは、自分自身が利益を得るために、マノンをドゥ・ブレティニと結び付けようとしているだけだった。デ・グリューは自分の気持ちが真剣であることを証明するために、父親宛ての手紙を見せた。一方、ドゥ・ブレティニはマノンに、デ・グリューの父親が今晩、息子を無理やり連れ戻す手はずを整えていることを教え、もし彼女がその邪魔立てをせず、自分と一緒になれば、贅沢な暮らしをさせてあげようと誘惑する。レスコーとドゥ・ブレティニが去った後、デ・グリューは手紙を投函しに外出する。独りになったマノンは、ドゥ・ブレティニの申し出に抗えない自分に気づき、デ・グリューとの生活に別れを告げる。戻って来たデ・グリューは彼女が泣いていることに気づくが、彼女は理由を言わない。彼はマノンと二人で送る牧歌的な生活を夢見る。ドアがノックされると、マノンは出ないでほしいとすがるが、彼は玄関へ向かう。マノンは、父親の馬車で連れ去られるデ・グリューを窓から見送る。

 

第三幕

パリのセーヌ河畔、クール・ラ・レーヌ通り。今日は祝日で大勢の人出で賑わっている。マノンは今、ドゥ・ブレティニと暮らし、パリの華として皆の注目を集め、ぜいたくな生活を楽しんでいる。ドゥ・ブレティニとデ・グリューの父親である伯爵との会話を漏れ聞いたマノンは、かつての恋人デ・グリューが、彼女との不幸な恋愛の末、神父になる決意を固めたこと、そして今日、サン・シュルピスの神学校で説教を行なう予定であることを知る。彼が私のことを忘れるはずがない——マノンは人ごみを抜け出してデ・グリューに会いに行った。

  サン・シュルピス教会。デ・グリューの説教は、皆から賞賛された。父伯爵が、神父になるよりも結婚したらどうかと説得する。デ・グリューの決心は固かったが、マノンに対する未練が断ち切れていないことも自覚していた。マノンが教会に現れると、彼は厳しい態度で応じる。しかし彼女が自分の罪を認め、彼の許しを乞い、昔を思い出してほしいと、切々と訴えると、デ・グリューは自分の気持ちに抗しきれず、神への誓いを破って彼女を受け入れてしまう。

 

第四幕

オテル・ドゥ・トランシルヴァニの大広間で賭博に興じる客の中にギヨーとレスコーの姿がある。マノンとデ・グリューがやって来る。マノンは、財産がほとんど底をついてしまっていることを忘れないよう、デ・グリューに念を押す。ギヨーが勝負を挑んで来たのでデ・グリューは受けて立った。マノン、プセット、ジャヴォット、ロゼットの4人の女たちは、お金があったら出来ることを考える。デ・グリューが大勝すると、ギヨーがいかさまだと騒ぎ、伯爵に告げ口すると脅す。警察が来てデ・グリューは逮捕されるが、伯爵が駆けつけて、すぐに釈放されるよう計らうと息子に約束する。マノンは共犯者として投獄される。

 

第五幕 

ル・アーヴル港。デ・グリューとレスコーは、流刑でアメリカに送還されることになっているマノンを救出する計画を立てた。しかし、雇った男たちは逃げてしまった。やむなくレスコーは護送兵にわいろを握らせ、マノンとデ・グリューが二人きりになれる時間を作る。病んで衰弱したマノンは、彼の名誉を傷つけたことを詫びる。彼女は二人で過ごした過去に思いを馳せ、彼は二人で過ごす将来を思い描く。しかしもう手遅れだった。デ・グリューが、彼女を許し、愛を誓う言葉を聞きながら、マノンは彼の腕の中で息を引き取った。