セヴィリャの理髪師

作曲:ジョアキーノ・ロッシーニ
原作:カロン・ド・ボーマルシェの同名の戯曲
台本:チェーザレ・ステルビーニ
初演:
1816220日、ローマ、アルジェンティーナ劇場

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第一幕

アルマヴィーヴァ伯爵が変装してセビリアの町にあるバルトロ邸の前に現れ、ロジーナにセレナーデを捧げる(“Ecco, ridente in cielo”「まさに今、空は微笑み」)。医師のバルトロは彼女を家の中に閉じこめているので、アルマヴィーヴァ伯爵は夜明けを待つことにする。この町の秘密やスキャンダルを何でも知っている床屋のフィガロが登場する(“Largo al factotum”「私は町の何でも屋」)。彼は伯爵に、バルトロはロジーナの父親ではなく後見人で、実は彼女と結婚したがっていると教える。フィガロが一計をめぐらす。伯爵が酔っぱらいの士官になりすまし、バルトロの家に宿営すれば、彼女に会えるだろうというのだ。伯爵は大喜びし、フィガロも高額の報酬に期待を寄せる。

 

ロジーナは彼女を魅了した声の持ち主に想いを馳せ、なんとか知恵を絞ってその人に会おうと決意する。彼女は声の主である伯爵のことを貧乏学生のリンドーロだと思っている(“Una voce poco fa”「今の歌声は」)。バルトロがロジーナの音楽教師ドン・バジーリオを伴って現れる。ドン・バジーリオはバルトロに、ロジーナを慕うアルマヴィーヴァ伯爵がこの町に来ていると忠告する。バルトロは、一刻の猶予もならないと思い、すぐにもロジーナと結婚することを決意する。アルマヴィーヴァ伯爵を追い払うためには、彼について悪い噂を広めるのが最も効果的だと、ドン・バジーリオはバルトロをそそのかす(“La calunnia”「陰口はそよ風のように」)。バルトロの計画を耳にしたフィガロは、ロジーナに注意を促し、リンドーロに恋文を届けてあげると約束する。疑い深いバルトロは、ロジーナが手紙を書いたことを証明しようとするが、そのたびにごまかされてしまう(二重唱“Dunque io son”「それは私のことなのね」)。ロジーナの反抗的な態度に業を煮やしたバルトロは、いい加減にしろと怒る。(“A un dottor della mia sorte”

 

アルマヴィーヴァ伯爵は酔っぱらった士官に変装してバルトロ家へやってきて、ロジーナにこっそりメモを渡す。バルトロは、自分の家は宿営を提供する義務を免除されていると言って、伯爵を追い返そうとする。フィガロが来て、この家の騒ぎを聞きつけて表に野次馬が集まっていると知らせる。そこへ警備の兵隊たちがやって来て、泥酔した士官を連行しようとする。しかしアルマヴィーヴァ伯爵はこっそりと自分の身分を隊長に明かし、すぐさま釈放される。フィガロ以外は誰もが不可解な事の成り行きに驚くばかりだ。

 

第二幕

バルトロは、あの酔っぱらいの“士官”はアルマヴィーヴァ伯爵が送り込んだスパイだったのではないかと疑っている。伯爵は、今度はドン・バジーリオの弟子で音楽教師のドン・アロンゾを装ってバルトロ邸に現れる。(二重唱“Pace e gioia sia con voi!”「あなたに安らぎと喜びがありますように」)。ドン・バジーリオが病気で寝込んでしまったので、代理でロジーナのレッスンに来たと言う。アロンゾはまた、自分はアルマヴィーヴァ伯爵と同じ宿に泊まっていて、ロジーナが彼に宛てた恋文を持っているとバルトロに話す。その手紙は、伯爵がリンドーロを使ってロジーナを弄ぼうとしている証拠として、伯爵の別の愛人から自分に手渡されたものなのだと言う。だからこの件をロジーナに話して忠告して差し上げましょう、と申し出た。これを聞いたバルトロは、アロンゾがドン・バジーリオの本当の弟子に違いないと信用し、ようやくロジーナに会わせてレッスンを任せる。ロジーナが歌い始めると(“Contro un cor”「愛の燃える心に対して」)、バルトロは居眠りを始める。伯爵とロジーナは互いの愛を確かめ合う。

 

フィガロがやってきてバルトロの髭をあたりながら、バルコニーの鍵を失敬する。そこに突然、病気のはずのドン・バジーリオが元気いっぱいに現れる。伯爵、ロジーナ、フィガロは素早く彼に袖の下を渡し、猩紅熱のふりをさせて追い返す(五重唱“Buona sera, mio signore”「おやすみなさい、先生」)。ドン・バジーリオは、何がなんだかわからないまま、お金をつかまされて家へ帰る。フィガロがバルトロのひげを剃っている間に、伯爵とロジーナは駆け落ちの打ち合わせをする。しかし“変装という言葉を耳にはさんだバルトロが勘づき、またもや罠にはめられるところだったと激怒して全員をその場から追い出す。

 

メイドのベルタが家の中の混乱を嘆く(“Il vecchiotto cerca moglie”「年寄りは奥さんを、娘は夫をほしがる」)。バルトロは今晩のうちにロジーナと結婚してしまおうと、ドン・バジーリオに公証人を連れてくるよう頼む。それからロジーナに、彼女がリンドーロに宛てて書いた恋文を見せた。失恋のショックと裏切られた辛さから、ロジーナはバルトロとの結婚を承諾し、なおかつ今夜リンドーロと駆け落ちする予定だったことまで話してしまう。嵐が通り過ぎた。フィガロと伯爵はバルトロ邸の塀を乗り越えて忍び込む。ロジーナは、自分を騙したリンドーロに対して腹を立てていたが、ついにアルマヴィーヴァ伯爵が本当の身分を明かすと歓喜に包まれる(三重唱“Ah! qual colpo”「ああ!何と意外な展開」)。ドン・バジーリオが公証人を連れてやって来た。賄賂と脅しに負けて、ドン・バジーリオは伯爵とロジーナの結婚の証人を務めることに同意する。そこへバルトロが警備兵を引き連れて戻ってくるが、時すでに遅し。伯爵はバルトロに、もはや抵抗しても無駄だと説明する(“Cessa di più resistere”「これ以上、抵抗するな」)。バルトロは自分が完敗したことを認める。フィガロ、ロジーナ、伯爵が新たな門出を祝う。